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長引く咳と肋骨の関係

2018.12.06 | Category: 妙見活法の智恵


 
こんにちは!
大阪天満 かわかみ吉祥堂
院長の川上です。
 
秋冬になると、増えてくるのは呼吸器系の症状です。
 
特に多いのが、以前「秋に増加する長引く咳とその原因」でお伝えした、長引く咳です。
 
寒気、頭痛、発熱といった、いわゆる風邪症状は収まったのに、咳だけが出続ける。
 
そんな方の身体的特徴として挙げられるのが、肋骨がガチガチに固まっていて動きにくいことです。
 
肋骨の動きが制限されれば、当然、中に納まっている肺も息がしにくくなります。特に吸うのが困難になるでしょう。
 
肋骨が固まってしまう要因として、
 
①精神的ストレス
②運動不足
③デスクワークなどの手作業過多による、首肩のこり
 
などが挙げられます。
 
これらに共通することは、
 
息が詰まる
 
ことです。
 
息が詰まれば、血流が悪くなります。血流が悪くなれば、血流によって養われている筋膜が硬くなります。その結果、肋骨周りの筋肉も硬くなり、肋骨の動きが制限されてしまいます。
 
精神的ストレスを取り除けない
疲れて運動する気にもならない
デスクワークもせざろう得ない
 
原因となる因子が解消しない、なら、どうするか?
 
結果的に、肋骨の可動性が上がる状況を先に作ってしまえばいいのです。肋骨の可動性が上がれば、胸郭内の環境が整い、自然と咳が和らぎます。
 
妙見法術活法には、肋骨の可動性を上げることで呼吸をしやすくなる技法が伝わっております。この技法が生まれた背景は戦場にあります。
 
戦いの場面で、落馬や高い壁からの転倒で背中を地面に打ち付け、身動きが取れなくなった場合、それは即「死」を意味します。
 
そんな状況を一早く回避する必要性から生じた特殊技法が、「指兜」です。
 
「指兜」は、手の指を介して、短時間に肋骨の可動性を上げてしまう技法です。「指兜」を施された武士は、息を吹き返して戦線に復帰していったと言われています。
 
この「指兜」は、気管支喘息・咳喘息、過呼吸、肋間神経痛にも応用できます。
 
呼吸器系の症状をお持ちの方で、呼吸を何度か繰り返し、「肋骨の動きが少し悪いかな~」とお感じの方、是非とも、当院の妙見法術活法をお勧め致します。
 
お読みいただき、ありがとうございました。
 
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アレルギー疾患でお悩みの方へ
秋に増加する長引く咳とその原因
長引く咳の症例

長引く咳の症例

2018.11.01 | Category: 漢方医学の智恵


 
こんにちは!「大阪天満 かわかみ吉祥堂」院長の川上です。
 
では、前回の「秋に増加する長引く咳とその原因」の続きとして、
「長引く咳の症例」をご紹介いたします。
 
①40代 男性
 
<主訴>
2週間前に風邪を引いて以来、咳が1日中止まらない、喉が狭い感覚
 
<その他>
サラサラの鼻水
双子の赤ん坊のお世話で睡眠不足気味
 
<診立てと治療>
一部の風邪と胸郭内の熱による咳として、
 
申脈、至陽、緊縮、八椎下から一箇所選択し、5回の治療で緩解
 
<考察>
風邪にかかった後、症状の出方や治り方は、発病前の体の状況によって異なります。
 
本患者さんは、風邪を引いた当初、「寒気・鼻水・咳」でした。それが、寒気が納まった後から、咳が頻繁に出るようになったそうです。
 
その背景として、仕事がデスクワークで運動不足、そのうえ、お子様のお世話で寝不足気味であったことから、体内に熱が籠りやすい状況を伺い知れます。
 
そこで、まず一部の残った風邪の処置をした後、胸郭内の熱を捌いていく治療を施しました。
 
風邪の治り方に、普段の体質状況が大きく関わるというお話をさせていただきました。
 
お読みいただき、ありがとうございました。
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アレルギー疾患でお悩みの方へ
秋に増加する長引く咳とその原因
長引く咳と肋骨の関係

 

秋に増加する長引く咳とその原因

2018.10.25 | Category: 漢方医学の智恵


 
こんにちは!「大阪天満 かわかみ吉祥堂」院長の川上です。
 
暑かった夏を過ぎ、秋になると増えてくるのが呼吸器系の症状です。
 
中でも多くみられるのが、長引く咳です。この長引く咳を、現代医学では「咳喘息」と言います。
 
一般的な気管支喘息との区別は、
 
咳喘息:気管の炎症
気管支喘息:気管支の炎症
 
です。
 
咳喘息は、風邪を引いた後に、2~3週間以上、咳だけが続きます。
 
咳という症状だけに、呼吸器系の問題として捉えがちです。
 
しかし、咳という症状にいきつくまでには、個々により異なります。
 
漢方医学では、咳に至る要因として、
 
①胸郭内の熱:肺に熱がこもる
②胸郭内の乾燥:肺が乾く
③胸郭内の冷え:肺に冷えが入る
④消化器系の冷え:脾胃の冷えが肺に伝わる
⑤精神的ストレス:気が突き上がる
⑥疲れ:体力消耗

 
などを想定しています。
 
それぞれの違いは、次のようになります。
 
①②③は、主に肺が区分される胸郭内の問題です。肺は五臓六腑の中で最表層に位置し、最もか弱く、そして他の臓腑の影響を受けやすい臓です
 
胸郭内が、熱・冷え・乾燥に偏ると、肺の呼吸機能が阻害されます。
 
①②の場合の多くは、乾いた咳です。発症要因は、
 
肺に連なる皮膚・鼻から入る風熱邪
内臓の熱が肺に伝わる
肺や他の臓腑の潤い不足
 
が考えられます。
 
③④の場合の多くは湿った咳で、痰を伴いやすくなります。発症要因は、
 
③気温低下によって、肺に連なる皮膚・鼻から冷えが入ってくる
④消化器系の冷えが肺に伝わる
 
といったことが考えられます。
 
①~④に更に、⑤精神的ストレスにより、気の巡りを管理する肝の負担が増すことで、肺機能の回復に影響が及びます。
 
肝気の興奮状態の時、全身の筋膜が緊張しています。筋膜が緊張すると、ちょっとした刺激に反応しやすくなります。いわゆる、過敏状態です。
 
特に横隔膜が緊張すると、その上に位置する肺も過敏になります。
 
そして、体内の気の巡りが上方に偏よるために、咳が頻繁に出るようになります。
 
⑥は、例えば夏の疲れ、仕事や運動による過労など、体力消耗がある場合です。
 
体力消耗の場合、
 
消化器系統の脾胃(後天の元気)
生殖器・泌尿器の腎(先天の元気)
 
の機能低下が考えられます。
 
脾胃と腎、いずれも胸郭より下に区分されます。この場合、咳という呼吸器症状を緩和させるために、胸郭より下に区分する脾胃と腎の機能を上げて、体力を回復させることが最優先になります。
 
このように、漢方鍼灸では、呼吸器系の症状の由来を、多角的に見極めていきながら治療をしていきます。
 
次回、咳喘息の具体的な症例をご紹介いたします。
 
お読みいただき、ありがとうございました。
 
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長引く咳の症例
長引く咳と肋骨の関係

漢方的・猛暑の夏を乗り切る智恵(その5)

2018.08.09 | Category: 漢方医学の智恵


 
こんにちは!
大阪天満 かわかみ吉祥堂
院長の川上です。
 
前回、【暑邪の影響を減らす身体作り】として、ポイントとして3つ挙げました。
 
何らかの意識を失う兆候がみられたら、暑邪の影響が身体の深いところの営血分(Ⅲ度)に及んでいる可能性が高いので、まず医療機関に行くべきなのは言うまでもありません。
 
そこまでに至らず、暑邪のダメージを受けた後、ご自身でできる対策として食養生がございます。今回、暑邪によるダメージの段階別に、お勧めの食材と、その他の養生の注意について、以下に挙げます。
 
【陽暑】
①暑邪が衛分から気分に入る(Ⅰ~Ⅱ度)
症状として、「身体が熱い、顔面が赤い、汗がやたら出る、口が渇き水分を欲しがる」など。
 
身体にこもった余分な熱を冷ます(清熱)食材:西瓜、苦瓜(ゴーヤ)、メロン、レンコン、緑豆、冬瓜、少量の塩、びわ、セロリ、キュウリ、アサリ、ワカメ
 
その他:うわごとを発せば、意識障害が起きるⅢ度の手前なので、安全を期して医療機関にかかって下さい。
 
②暑邪により気陰両虚となる(Ⅰ~Ⅱ度)
症状として、「力が抜けただるい(特に手足)、食欲が無い(食べる元気さえない)、頭がボーッとした感じのめまい、顔や手足のほてり、口の渇き」。この気陰両虚は、「虚多無邪、春夏劇」つまり、元々何らかの虚弱体質の方が、暑さによってエネルギー不足が進行することで陥りやすい段階です。
 
気を益す(益気)食材:人参、お米(お粥、重湯)、ナツメ、カボチャ、鶏肉、カツオ
 
余分な熱を冷まし、渇きを潤す(清熱潤燥)食材:トマト、オクラ、山芋、白菜、豆腐、レンコン、梨、リンゴ、メロン、パイナップル、麦茶、緑茶
 
汗が漏れすぎないように皮膚の毛穴を引き締める(止汗)食材:梅、レモン、五味子茶、
 
その他:動作が負担になる段階なので、まずは涼しい部屋での安静が第一です。
 
③暑邪に湿が挟む(Ⅰ~Ⅱ度)
症状として、「身体が重だるい、頭が重く時にめまい、むくみ、お腹がつかえて食欲が無い、大小便がスッキリ出ない、吐き下し、午後から微熱」
 
余分な熱を冷まし、水を巡らす(清熱利湿)食材:冬瓜、ナス、レタス、昆布、海苔、ひじき
 
消化器の水を巡らす(利水)食材:生姜、ミョウガ、麦茶、トウモロコシ、アズキ
 
消化器の気を巡らす(利気)食材:大根、シソ、フスマ(小麦の糠)、麦ご飯(大麦)、サンザシ、トウモロコシ、ピーマン、キャベツ、ミント、パセリ、バジル
 
その他:普段、何らかの消化器症状をお持ちの方がかかりやすい段階です。①②を併発していないで身体を動かせるようであれば、入浴や軽運動により、ドバーッではない、ほんのりとした汗をかくことをお勧めします。
 
上記の①から③の要因は単独で、あるいは混合で症状が現れることがあるので、その診極めがとても大切です。また夏バテ、漢方医学でいう疰夏・注夏の多くは②あるいは③の形を呈しています
 
【陰暑】
①②のエネルギー消耗段階、あるいは③の湿気が体内に溜まっている状態から、冷房による冷えや過度の冷飲食によって、③の消化器症状に加え、ときに寒気や発熱といった風邪症状が併発します。ひどいときは、食中毒様の吐き下しがメインとして現れます。
 
この段階であれば、食材で対処するよりも、しっかりとした漢方的な診立てを行う鍼灸院、薬局、医院にかかることをお勧めいたします。
 
【まとめ】
以上、5回にわたり夏の養生法についてご説明しました。このシリーズ掲載にあたり、暑邪についての理解が一層進んだことで、鍼灸の臨床で夏特有の症状の治療が行いやすくなりました。
 
また私は元々、下痢をしやすく、夏の後半に食欲不振を経過した後の秋になると、深夜、痰が気管支につまって喘息発作が出やすくなります。夏の養生(特に食養生)をしっかり行うことが、秋の喘息発作防止に繋がることを改めて確認できました。
 
あと数週間もすれば、この暑さが和らいでいくことでしょう。それまでに、皆さまが少しでも快適な残暑をお過ごし頂ければと思います。

漢方的・猛暑の夏を乗り切る智恵(その4)

2018.08.06 | Category: 漢方医学の智恵


こんにちは!
大阪天満 かわかみ吉祥堂
院長の川上です。

少しでも熱中症や夏バテにならないようにするためには、日頃から「暑邪の影響を減らす身体作り」が大切です。

 
【暑邪の影響を減らす身体作り】
ポイントは以下の3つです。
 
①熱の出入りがしやすい皮膚の状態にする
②水湿の邪を溜め込まない
③適切な温度での水分補給と食事摂取

 
①~③それぞれが関連しているので、途中相互に織り交ぜながらそれぞれ説明します。
 
①熱の出入りがしやすい皮膚の状態にする
西洋医学では散熱と放熱と表現し、漢方医学と共通する点です。ここで漢方医学的にもう少し掘り下げてみましょう。
 
腠理つまり毛穴が湿気で覆われると熱の出入りに影響するので、入浴による発汗で、内外の湿邪を追い払うことが、その助けになります(②との関連)。
 
暑さのダメージを少しでも減らすためには、室内ではクーラーの使用はかかせません。しかし、日頃からクーラーで身体が冷え過ぎると、体表上の熱が放熱する機会を失って、体内に熱がこもる場合があります。従って、室温27~28℃、湿度50~60%を目安にクーラーの温度設定をする一方で、暑さが和らいでいだ時間帯に、ゆっくりとした散歩や体操などの軽運動など適度に発汗する機会を設けた方がいいでしょう。
 
②水湿の邪を溜め込まない
暑邪は水湿があるところに寄ってきやすい傾向があります。このことについて中国・明代の名医喩嘉言(ゆかげん)先生は『医門法律』の中で、
 
体中多湿の人は、暑に中り易きこと最たり。両相感召する故なり。外暑は内湿を蒸動し、二気交通し、よりて中暑となす
 
また、江戸時代の名医浅井貞庵先生も『方彙口訣』の中で、
 
水湿は暑邪の棲(す)み家、暑邪は水湿を巣にする
 
と表現されています。つまり、水湿の邪を体内に溜め込んでいるほど、夏の暑さを受けやすいということです。特に消化器が弱い方は、③での説明のように水分補給の仕方に配慮が必要です。
 
③適切な水分補給と食事摂取の仕方
漢方医学では、水分摂取の仕方に大変気を遣っています。たとえ発汗後に喉が渇いたとしても、次のように、ちょっとずつ飲んで、その後身体がどう反応するか観察しています。
 
傷寒論中 41
太陽病、発汗後、大汗出、胃中乾、煩燥不得眠、欲得飲水者、少少与飲之、令胃気和則愈、・・・

 
汗をかいて喉が渇いたとしても、水の邪が身体のどこかに隠れているときに、一気に水分を摂取したら、恐らくすぐに水を吐き出してしまって、喉は渇いたままでしょう。
 
また、消化器に弱りがあまり無ければ、冷たい飲料を飲んでもたいした影響が少ないかもしれません。しかし、消化器が弱っている人に喉の渇きがあったとしても、冷飲はお勧めでできません。理想は、沸騰した熱湯と冷水を半々に混ぜた陰陽水かお湯です。
 
陰陽水は吐き下しの際の水分補給に用いられるほど、消化器に非常に優しい水です。また、ただのお湯でも、夏の冷えた胃を温めるのに十分で、胃を温めることにより陽気が体表まで押し上がることで、体表上にこもった熱が発汗と共に出やすくなります(①との関連)。
 
その意味で食事も同様で、夏ほど温かい鍋などの温かい食事が胃腸のために、ひいては熱中症対策にもなります。
 
もう少し細かいことを言えば、お昼ご飯にカレーを食べたり、温かいスープを飲むことで汗をかいて体表上の熱を体外に追い出すことで、陽気が高まってくる午後が過ごしやすくなります。ただし、お肉は熱がこもりやすいので、具はお野菜を多めにした方がいいでしょう。
 
以上、「暑邪の影響を減らす身体作り」についてお話致しました。
 
続く

漢方的・猛暑の夏を乗り切る智恵(その3)

2018.08.04 | Category: 漢方医学の智恵

 
こんにちは!
大阪天満 かわかみ吉祥堂
院長の川上です。
 
前回、暑邪の特徴として、以下の5つを挙げました。

 

①陽邪で、火病に属し、身体上部から損傷する
②暑邪は気血水を損傷しやすい
③湿と一緒になりやすい
④暑邪が甚だしいと心営に陥り、生風することがある
⑤ときに冷えの症状が現れる

 

この特徴を踏まえたうえで、暑邪のダメージを受けた際の代表的症状の熱中症について考えます。

 

【熱中症の分類】
日本神経救急学会の熱中症検討委員会による熱中症の分類を参考にすると、より熱中症が整理されて理解しやすくなります。

 

Ⅰ度(軽症):めまい、立ちくらみ、気分が悪い、手足のしびれ、こむら返り(筋肉の痛み、硬直など)。
Ⅱ度(中等症):頭痛、吐き気・嘔吐、体のだるさ、力が入らない。
Ⅲ度(重症):返事がおかしい、痙攣、まっすぐに歩けない、体が熱い、意識喪失。

 

日差しがきつい日中に、強烈な暑熱邪を受けると、陽明気分、あるいは一気に営血分(心と関わる)という深い領域に熱の影響が及ぶことで、Ⅲ度の熱中症になることがあります(暑邪の特徴①②④)。

 

このときの処置はまず、日陰の風通しのいい場所に移動させた後、濡れタオルなどで首筋、脇下、股関節など大きな血管が通る部位を冷やす、食塩水による水分補給が大切です。この段階になると生命の危機にも繋がるので、救急車などで救急医療を行う医療施設に搬送することが最優先となります。

 

ただし冷やし方に注意が必要です。『医学入門』に、「若し道途に卒倒し、湯薬便せず、気脱難治を恐るれば、急ぎ蔭涼の処に扶け、冷湿の地に臥せしむべからず」とあります。これは、身体を冷やし過ぎると、皮膚血管が収縮し、震えが生じることで産熱するので、放熱が阻害される場合があることを警告しています。従って、体表が一定冷えたら、身体冷却を一旦止めた方がいいでしょう。

 

私のところのような一般鍼灸院では、ⅠⅡ度の熱中症になって、ある程度の時間が経ってから診る機会があります。ⅠⅡ度の熱中症にかかる方の多くは、強烈な暑熱邪を受けなくても、ジワリジワリと夏の暑さのダメージを受け、暑邪の特徴①~③により、

 

発汗による気陰(水)不足とそれに伴う虚熱(気陰両虚→陰虚内熱)
≒脱水に伴う倦怠感やほてりなど
水分代謝不良による水湿邪の偏在(湿困脾土、脾虚湿盛など)
≒胃腸内の水分配置の偏り

 

が引き起こっています。これらの状態は夏バテ(湿邪は脾虚により形成されるものが多し)の病因とも重なります。

 

また、熱中症は梅雨時期から増えだし、80歳前後の方が多いという統計を重ね合わせると、気陰両虚と湿邪偏盛の要因がある方が、暑邪の影響を受けやすくなると推測されます。

 

従って、この2つによる身体へのダメージについて考慮することが熱中症や夏バテ対策の中心となります。

 

(その4)に続く

漢方的・猛暑の夏を乗り切る智恵(その2)

2018.08.03 | Category: 漢方医学の智恵



こんにちは!
大阪天満 かわかみ吉祥堂
院長の川上です。

前回、「夏の身体は外熱内寒」とお伝えしました。そこで、暑邪の特徴と身体への影響から、暑さ対策について考えてみましょう。
 
【暑邪の特徴】
暑邪は「人体にダメージを与えるほどの夏の暑さ」ということを前回お伝えしました。この「人体にダメージを与えるほどの」という表現がとても曖昧で、暑さは全ての人の身体に悪影響を及ぼすのではありません(伝染性が非常に強く致死率が高いものを癘気(れいき)と言いますが、ここでは省きます)。
 
人それぞれのお身体の状態によって、暑さについていけず人体に何らかのダメージを受けた場合、その暑さ(暑気)を「暑邪」と表現します。暑気以外の外界の気候変化である風寒湿燥火(六気)も同様で、人体にダメージを与えるような六気を六淫(りくいん)と言います。
 
その前提で暑邪には、以下の特徴と身体への影響があります。
 
【暑邪の特徴と身体に与える影響】
①陽邪で、火病に属し、身体上部から損傷する
②暑邪は気血水を損傷しやすい
③湿と一緒になりやすい
④暑邪が甚だしいと心営に陥り、生風することがある
⑤ときに冷えの症状が現れる

 
①陽邪で、火病に属し、身体上部から損傷する
暑さは上から襲ってくるので、まず人体の上部を損傷します。身体症状として、「めまい、目赤頭痛、顔面が赤くなる」、五臓でいえば、肺が最も上部にあり、肺衛・肺気・肺津(津は水の一種)を傷りやすい。このときの症状は、「若干の風を嫌がる(微悪風)、口が乾く、やや体が熱い、空咳、胸が煩わしいなど」。
 
また肺を通り越して胃の領域である陽明気分に侵入することがあります。症状は、「高熱多汗、口が渇いて水をよく飲む、顔面紅潮など」。
 
②暑邪は気血水を損傷しやすい
暑邪は陽邪なので、その開泄性により、毛穴が開けっ放しになって、発汗によって気と水が漏れやすくなります。更に、漢方医学では「汗血同源」と言って、汗と血は元は同じ水を源としていると考えています。従って、多量の発汗は血にも損傷の影響が及びます。
 
これらによって気虚・血虚・陰虚(気血水エネルギーの損傷)となり、多くは気陰両虚という状態を呈します。臓腑への影響としては、肺胃の気水の損傷と心腎の真陰の損傷という2方面に及びます。
 
症状として、「だるい(特に手足)、息切れ、しゃべるのがおっくう、意識がぼんやりする、口乾・口渇」
 
湿と一緒になりやすい
四方を海に囲まれている日本という土地柄、湿を挟みやすい。そのため、消化器の虚弱により体内に水湿の邪気が溜まっていると(脾虚湿盛)、その②でもお話しました様に、余計に暑邪に中り易くなります。
 
④暑邪が甚だしいと心営に入って、生風することがある
炎天下の日に、肉体労働に従事したり、外に長くいたりすると、暑邪がいきなり心営に入ることがあります(直中)。心営とは、本来、心臓の血流運行作用のことです。そこから転じて熱性の病の病位の最も深い段階に進んだ状況を言い表します。
 
そして心竅(意識と関連する心にある穴)を閉ざすと、「突然倒れ、意識障害」となります。このとき、「頚部のこわばり、手足のケイレン、背中が反り上がるといった生風(肝風内動)」の症状を併発することがあります。
 
⑤ときに冷えの症状が現れる
熱帯夜だからといって、クーラー・扇風機の付けっぱなし、あるいはそれらが無くても、裸のまま寝ると、夜の陰気により寝冷えとなって、寒湿の邪に傷つけられます。あるいは冷飲食により、体内から寒湿の邪が形成されます。明代の名医張景岳先生は、①~④の条件で暑邪に中たることを陽暑、⑤の暑邪に中ることで寒湿の邪を受けることを陰暑と表現しました(③の要素が大きくなると、陰暑になりやすい)。
 
そして、浅井貞庵先生は『方彙口訣』の中で、次の様に夏の暑さが陽気そのものを傷ることがあると仰っておられます。
 
人身の陽気打たれて反て此の身内の冷ゆることあり。・・・炭火を太陽の前へ出す時は炭火の勢力、太陽の劇勢に打たれて恰(あたか)も黒炭(きえすみ)の如くなる。是人の陽気が世界の暑気に打たれると同様なり。

・・・泄(も)れ出る陽気が発し過ぎて表の陽気が乏しくなるなり。暑傷気と有りて世界の火気に人身の陽の打たれるあり。
 
本来、人体の陽気を養うはずの暑気が、一定の条件下では、時に陽気を傷つけることがあるという貞庵先生の見解を、漢方医学の治療者として頭の片隅に入れておくべきでしょう(暑邪により陽虚まで陥る場合、その前に一気に著しい傷陰が起きたからだと愚考します)。

(その3)に続く

漢方的・猛暑の夏を乗り切る智恵(その1)

2018.08.03 | Category: 漢方医学の智恵

 
こんにちは!
大阪天満 かわかみ吉祥堂
院長の川上です。
 
7月23日の大暑を過ぎ、8月7日になると、立秋を迎えます。暦上、季節は秋に近づきつつありますが、日本各地、まだまだ暑い日が続きます。テレビなどでも、連日、各地で熱中症に関する報道がなされています。この暑さを、どう乗り切るか?暑いときは暑いときなりの過ごし方が大切です。

 

漢方医学には、夏を過ごしやすくするための知恵が豊富に蓄えられていますので、ご紹介いたします。

 

【夏の体は外熱内寒】
夏は一年で外気温が高いため、人体の陽気を養うのに最も適切な季節です。そして、人体の陽気は体内より体表上に集まり、汗で陽気を発散しながら外界とのバランスを保とうとしています。その反面、相対的に体内は冷える「外熱内寒」、というのが夏の体の大前提です。

 

このことについて、漢方医学のバイブル『傷寒論』弁脉法22に、以下のような記載がなされています。

 

五月之時、陽気在表、胃中虚冷以陽気内微、不能勝冷、故欲著複衣。
訳)五月(当時の夏)の時は、陽気は体表にあって、胃中は冷えて陽気がわずかなので、冷えには勝てません。従って、(冷えに勝てなかったら、)衣を重ねて着たくなります。

 

要するに夏は普通でさえお腹が冷えているので、暑いからといって、冷えた飲食物を摂り過ぎると、体調を崩しやすくなりますよ~、ということです。そして、実は過度の冷飲食自体が熱中症・食中毒・夏バテにも繋がってくるのです。

 

(その2)へ続く

 

漢方鍼灸 妙見活法 大阪天満 かわかみ吉祥堂

所在地〒530-0041 大阪府大阪市北区天神橋4丁目8-25 長田ビル3F
駐車場なし
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休診日日曜日 火・土曜日午後 第4木曜日午前
院長川上 哲広妙真
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