ホーム > 腰痛、膝痛などの下半身症状の症例 | 自律神経症状の早期改善なら、大阪市北区の漢方式鍼灸院「大阪市てんま吉祥堂」
画像診断による器質的要因が認められるものの、痛みをほとんど感じることなく生活を送れる方もいれば、器質的要因が存在しないにも関わらず、腰痛の方が多くいらっしゃいます。ここで疑問点として、画像診断による器質的要素のみで、症状の原因が決定づけられるか、ということが挙げられます。
漢方医学の場合、器質的な問題が認められれば、それを一定に参考にしながらも、五臓六腑の協調性や、気血水の循環性といった機能面を重視して、症状の原因を探っていきます。
特に、気血水の循環を妨げる5大要因として、
1.精神的疲労
2.肉体的疲労
3.運動不足
4.飲食の不摂生
5.気象変化への不適応
が挙げられます。気血水の循環にトラブルが生じると、特定の筋肉・内臓だけが頑張って、他の筋肉・内臓がさぼるという様に、全身が一致団結して働かなくなります。これは、整体のアンバランスで、腰痛はその象徴的な症状の一つです。
先天性の疾患や事故といった例外を除いて、多くの病気は、精神・食生活・運動など、日常生活における様々なアンバランスが、整体※という場に症状として現れたものと考えることができます。
その意味で、病気・症状をただ忌み嫌う存在としてではなく、自分自身のアンバランスを見つめ直すきっかけと捉えられます。この様に捉えることで、症状の改善が大きく進むことはよくあります。
当院では、お一人お一人異なる、整体のアンバランスを丁寧に見極めながら、症状改善に努めさせていただいております。
これから、当院で治療した下半身症状改善の症例をご紹介しますので、どうぞご参考になさってください。
※整体:人体は、筋肉・内臓・血液循環など様々な要素が互いに関連しあって構成されている統一体です。また、人体を取り囲んでいる自然界とも相互に関連して統一体を成しているという考え方を、中医学では「整体観」と言います。単に「整体」と言うとき、有機的な繋がりのある体のことを意味します。
患者:女性 49歳 会社員
初診日:2011年2月17日
<腰痛の状態>
少し前傾になるだけで痛む
座る、仰向けなど同じ姿勢が長時間続くと痛みが増す
寝返りをしようとするだけで痛む
咳をするだけで腰に響く
<腰痛の経過>
2001年から度々、腰痛を自覚するようになる(特に重いものを持ち上げたとき)。
’06年~’07年にかけて歯磨きなど、前傾姿勢になると痛みが増す。
’08年11月 左股関節から足先まで(胆経沿い)シビレと痛みを覚える。
その後腰椎3番と4番のヘルニアの存在を確認されるも、器質的問題としては軽度のものと診断される。
〇耳鳴は無いが、時々両耳の奥が詰まる。
※解説イラストは表記上、裸モデルを使用していますが、実際は服を着用したまま、診察・治療を行っております。
30代前半まで、これといった大きなストレスなく過ごしていた方。
37歳 不正出血が続いていた。社内初の女性総合職の課長として就任。社長に期待されていた。それに対し、周りの男性社員の多くは、批判的な目で見ていた。自分自身、役職に見合う能力があるか不安で、プレッシャーを感じ続けていた。自ら望んで昇進した訳ではないから、尚更ストレスが溜まり、就職以来、最大のストレスを感じる期間を過ごした。
39歳 4月、腰痛発症し、1週間で治癒。腰痛の直後、右脇腹~臀部に帯状疱疹、2週間で治癒。
その後、子宮頚部の細胞に炎症発覚。
9月 子宮頚ガン判明、10月に頚部の円錐切除、11月全摘手術
40歳前後より春先になると、軽めの花粉症
【漢方医学的診断】
肝うつ気滞化火・血瘀、腎虚
【治療と経過】
治療初期 百会の左右反応ある側、後谿、小膓兪1行に1穴。
(途中、冷えによる症状が現れた際には、天井、胞肓、大巨)
治療中期 百会の左右ある側、天枢 不容 章門など腹部、大膓兪に1穴。
治療後期 百会の左右ある側、申脉に1穴。
経過については、まとめ参照。
9月30日の40診で治療終了。
ご本人の喜びの声や上記の経過にあるように、本患者さんはMRI所見では軽度の腰椎ヘルニアとされながらも、その反面、きつい腰痛に長年悩まされ続けていました。この方のように画像診断では大きな問題は無いものの、きつい腰痛症状をお持ちの方は大変多くいらっしゃいます。
それが意味することは、骨格という器質的な問題以外に、腰痛に関連する要因が存在するということです。その正体が何かを知ることは、腰痛改善のために非常に大切です。
本患者さんの場合、腰痛が現れる2年前の37歳の1999年に、社内初の女性総合職に抜擢されたのを機に、仕事内容がそれまでと全く異なり、また周りの男性社員からの批判的な視線を浴びるなど、就職以来最大のストレスが積み重なっていました。
そして、その頃から不正出血を繰り返すようになり、2年後の2001年に子宮頚ガンが発見され、切除手術を受けました。腰痛を感じ出したのもこの時期で、以降経過にあるように度々腰痛に悩まされます。
そしてその他に、2001年に帯状疱疹にかかる、口内炎を起こしやすいといったことも症状の本体を知るうえで有力な情報です。
以上の「ストレス、慢性腰痛、不正性器出血、子宮頚ガン、帯状疱疹、口内炎を起こしやすい」、これら関連性が無いように思える症状や事柄の中から漢方医学は因果関係を探ることを重視しています。
その因果関係を簡単にチャートにすると、次のようになります。
度重なるストレス
⇒(肝)気の停滞⇒身体側面(胆経)の左右差・背面の気血の停滞⇒腰痛
⇒気滞化火(血熱)・瘀血が生殖器へ⇒不正性器出血・子宮頚ガン・帯状疱疹
⇒気の熱化⇒口内炎
こういった症状の裏に潜む背景・全体像を正確に捉えられることが、鍼灸治療の成果の是非に関わってきます。
本症例では、気の停滞を緩和する治療を施したところ、数々の腰痛症状が徐々に緩和していきました。それと共に口内炎も起こりずらくなりました。
しかし、腰痛の諸症状が緩和する中で、治療中期で、寝返りがうちずらいのが最後残っていました。上記のチャートを再検討し、「下半身(腎)のエネルギーの弱り」と身体側面(胆経)の左右差が相互に影響していることも考慮に入れ直し、それに基づいた治療を施すことで、残った症状も改善していきました。
腰椎ヘルニアをはじめとする慢性腰痛には程度の違いがあり、症状改善は一朝一夕ではありません。しかし、たとえ画像検査でどう診断されようとも、症状改善の道は残されています。その事実をまず知ることが、腰痛緩和のための第一歩です。
※こちらに、本症例の患者さんの喜びの声を紹介させていただいています。
患者:30代女性 ソムリエ
初診日:2011年7月20日
<腰痛の状態>
常に腰が張る。
時折腰から太もも前面外側にピリッと電気が走るような痛みが生じる。
<増悪因子>
後屈
立ったり、座ったりなど同じ姿勢を取り続けると
仰向けから起き上がるとき
くしゃみや笑ったとき
忙しい日(勤務時間PM5~AM2)
冬や雨の日
<緩解因子>
休日
<腰痛の既往歴>
22~23歳(7~8年前)のホテル勤務時の頃から、腰痛持ち。
当時、重いものを持ち上げる際に、痛みを感じやすく、整形外科を受診したところ、腰椎ヘルニアの診断を受けた。当時の腰痛は1週間、安静にしたら緩和した。
腰痛になってから右側頭部からアゴにかけて痛む
右膝の痛み
肩・頚・背中のこりと痛み
時々あるめまい
ここ半年、喉がつまる
胃痛・胃もたれ
胸焼け
お腹の張り
高校生の頃から常に耳鳴り(右側)
※解説イラストは表記上、裸モデルを使用していますが、実際は服を着用したまま、診察・治療を行っております。
<生活環境・精神状態>
ソムリエになって4年、仕事自体は楽しいが、現在の職場と自分のやりたい方向性とのずれが、
ここ1年で出てきたことによるストレスが溜まっている。そのため、近々独立を検討している。
【漢方医学的診断】
肝鬱気滞
【治療】
後谿、百会から一穴
本患者さんの腰痛は、問診と体表の反応から、肉体疲労が重なっている中で、精神的葛藤(仕事面で現在置かれている状況とご自身の志向していることとの隔たり)が肉体にかなり影響していると考えました。
精神的葛藤が肉体に及ぼす影響は、最初は、筋肉の硬直化という反応として現れやすい傾向にあります。また、情緒面と関わる筋肉は、頚~肩~背中、骨盤周囲といった部位に集まっているため、肩凝り、頭痛、腰痛といった症状として現れやすい。
症状の本質は、腰そのものではなく、情緒面の葛藤が筋肉に対して影響を及ぼしたものであるため、その葛藤の反応が出ているツボへ一本施したのみです。そのツボは、腰から離れた部位に位置しています。
また、腰痛以外の
腰痛になってから右側頭部からアゴにかけて痛む
右膝の痛み
肩・頚・背中の凝り・痛み
時々あるめまい
ここ半年の喉のつまり
胃痛・胃もたれ
といった症状も、腰痛の原因と同じであったため、一本鍼で全てが緩和しております。
※こちらに、本症例の患者さんの喜びの声を紹介させていただいています。
患者:女性
初診日:2010年11月6日
<右臀部痛の状態>
中臀筋付近の筋肉痛の様な突っ張った痛みがある。
<右大腿部のシビレ>
右臀部から右大腿部側面の右膝外側まで(胞肓穴から陽陵泉穴辺り)
ひどい時は電気が走る様な感じがある。
特に右膝外側(陽陵泉付近)は皮膚の感覚が無く、皮膚の上にラップに包まれた感がある。
これらの症状により、杖をついてでないと歩きにくい。
<主訴発症後の処置>
10月下旬に整形外科にて、レントゲン検査をするも、原因が分からない。
キシロカインによる局所麻酔をすると一時的に痛みが和らぐが、ある一定の時間が経過すると、痛みが出る。
研究所の助手の紹介で、鍼灸院に数回通院。仰臥位・伏臥位で20本ずつの鍼治療するも改善せず。
〇肩こり
〇夜間尿
※解説イラストは表記上、裸モデルを使用していますが、実際は服を着用したまま、診察・治療を行っております。
20代 公衆衛生研究所勤務(定年まで勤める)。
30代 半ばより趣味でゴルフを始める。
45歳 ゴルフをプレーした日にぎっくり腰になった。
60歳 定年以降も、新しい研究所の立ち上げに尽力。
64歳 薬局経営をしていた実母が亡くなる。実母の薬局は近所の憩いの場的な存在であった為に、周囲の要望もあって、研究所勤務と並行しながら週3回のみ開店していた。患者本人、薬局経営の経験が無く、慣れない在庫管理が精神的に負担であった。この頃から気分的に余裕が無くなったせいか、熟睡感が減った。(65歳頃から、ゴルフをプレーする頻度が月1回になった)
69歳 人間ドッグでの検査にて尿タンパクが正常値より高いことが判明し、急性腎炎と診断された。しかし実際には排尿後のけだるさ、浮腫など身体上の自覚症状が無く、無症候性タンパク尿であった。大事をとって2ヶ月入院し、ステロイド治療にて、数値は正常に落ち着いていった。(現在、問題無し)
71歳 夏、研究所勤務と大学講師(後期のみ)をしながら、薬局経営することは年齢的に負担であるために、薬局を閉鎖することとなった。薬局を閉鎖することとなって、やれることはやったという気持ちで肩の荷が降りた感があった。薬局閉鎖により在庫整理をすることとなり、その作業を早くしなければという焦りと作業の肉体的な負担が重なり、この頃から1日中、疲労感を覚えるようになった。
同年9月10日前後 ゴルフプレー中に腰に違和感を覚えながらも、プレーを続けた。(この痛みを感じる様になった以前には、たまに腰の違和感を感じることがあったが、生活上苦にならなかったため、特に気に留めることなく過ごしていた)
同年9月20日 腰の違和感が徐々に悪化し、右臀部(中臀筋付近)に筋肉痛様の痛みを覚えた。
【漢方医学的診断】
肝欝気滞・腎虚がある状態における、足少陽胆経の左右差
【治療】
1~7診目(11月中) 百会(頭天辺)の左右のツボを使い分ける。
8・9診目(12月) 大巨(下腹部)の左右を使い分ける。
本患者さんは60歳過ぎまで、健康上大きな問題が現れることなく過ごしてこられました。しかし、実母が亡くなった64歳頃から、研究所勤務と並行しての慣れない薬局経営は、患者にとって精神・肉体共に負担になりました。
これらの持続的な負担が加齢による下半身の弱り(腎虚)に影響を及んだことにより、69歳時に無症候性タンパク尿(医師の診断では急性腎炎)となったと推測されます。
71歳で7年間続けていた薬局を閉鎖することとなり、精神的にホッとしたものの、閉鎖に伴う作業を早めに済ませなければならないという焦りが更に肉体に負荷がかかりました。
この負担が腰から大腿部の筋肉の硬直化を引き起こし、その状態でゴルフをプレーしたことにより本症状が発症しました。
そこで、上記の漢方医学的診断に従って治療したところ、9回で無事完治ました。
こちらに、本症例の患者さんの喜びの声を紹介させていただいています。