ホーム > 便秘・下痢改善で評判の漢方式鍼灸院 | 自律神経症状の早期改善なら、大阪市北区の漢方式鍼灸院「大阪市てんま吉祥堂」
患者:34歳 女性 技術職
初診日:2013年12月11日
高校3年の夏より発症。当時、受験勉強をしながらクリーニング店のアルバイトをしていた。遊ぶ時間が少なくなったためか、ストレスが溜まっていた。3ヶ月入院した。
以降、波はあるもののお薬を服用しながら、過ごす。来院2年前より、仕事上のストレス(仕事量の増加、対人関係の問題)により症状が悪化する。症状がひどいときは、朝3~4回、昼から夜2~3回の下痢(泥状)になる。普通でも、日に3~4回は出る。時々、血が混じる。
現在、ペンタサ、セレキノン、ラックビーを服用。
主訴の増悪要因:ストレス、乳製品の摂取
首肩の凝り、回転性のめまい、胃もたれ・痞え、ゲップ・おならが出やすい。 幼少期より乗り物酔いしやすい、一日中疲労感がある。
幼少期より、脂濃い食事で下痢しやすかった。
高校3年 本病発症のため4年制の大学受験を諦め、デザイン関連の専門学校に進学
22歳~25歳 専門学校時代のアルバイト先で勤務
27歳 現会社に就職。
32歳 仕事は充実していた。仕事量が増え忙しくなったことに加え、会社の先輩のことでストレスがあった。これを機に、本病再発。
<生活状況>
〇飲食に関して
食欲が無く、来院一ヶ月前より少食になってきている。
夜遅くまでの残業になると、スナック菓子、おかき、あんこが入ったお菓子をよく食べる。
冷たいものを勢いよく飲むことが多い。
飲酒の翌日下痢しやすい。
〇大便に関して
幼少時より、脂濃い食事で下痢しやすかった。
排便後、疲れを感じ、腹痛の時がある。
環境の変化で下痢しやすい。
〇汗
上半身(顔・頭・額・脇下・手掌)に汗をかきやすい。
〇その他
口内炎が出来やすい。
暑がりでもあり、寒がりでもある。手足が冷えやすい。
顔がのぼせやすく、夜は手足がほてりやすい。
6~7時間の睡眠であるが、熟睡感がない。
〇生理
2年前の本症状発症時の頃、3~4ヶ月無かった。度々飛ぶことがあり、最近は2ヶ月来ていない。
<家族関係、性格、精神状態など>
3人兄弟の末っ子長女。母は悩みを相談しやすい優しかった。父は短気で口下手、愛情表現が苦手、仕事から帰ってくるのが遅かったために接点が少なかった。相談してもすぐ怒る。そのためか、父に対して苦手意識がある。長男も父に似ているため、話しにくい。次男はおっとりして、話しやすい。
本人の性格は、幼少時より現在まで、言いたいことがあっても言えないで我慢してしまう。部下のことで直属の上司に相談したいが、東京勤務なので、なかなかできない。
本症状が改善したら海外旅行(台湾)に行ってみたい。
【漢方医学的診断】
本(病の本質):肝脾不和、脾虚湿盛、
標(二次的な病):上焦の熱(心肝火旺様を呈す)
【治療と経過】
虚実の状態を見極めて、治療初期において上焦の熱をさばきながら、その熱が中焦へ送られるような意図での瀉法中心の治療を行った。
その過程で、治療2回目の後に生理が2ヶ月半ぶりに来る、肩こりの軽減、顔ののぼせの軽減、熟睡できるようになりながら、朝2回、昼以降1~2回の大便となった。
上焦の熱がさばかれることにより、鼻付近の赤みが徐々に薄くなっていった。それとともに、中焦に溜まった水湿の邪が緩和したた頃から、腹部では徐々に虚の反応(凹み)が目立ち始めてきた。
治療経過中、再び生理の間隔が空きがちになった。それまで瀉法中心に行っていたことから、これは気滞血瘀の実からではなく、下痢により気血のエネルギーが奪われた虚による月経の遅れとして、中焦の虚を補いながら水湿をさばく治療に治療方針を変更した。すると定期的に生理が来るようになった。
次第に、1日1~2回の大便となり、下痢便も治まっていった。
精神状態によって過食傾向、反対に食欲不振になる、または便秘や下痢になるなど、精神情緒と消化機能は密接に関係しています。本患者さんの場合、元々消化器虚弱(脾虚)体質だったところに、ストレスが積み重なったことによって下痢症状が起こりやすい体の癖がありました(専門的には、「肝脾不和」)。
その一方で、冷飲食の過多で消化器に未消化物(水湿の邪)が停滞しやすくなり、それが長期に及ぶと、胸郭内の熱がミゾオチから下へ降りにくくなり、胸郭内は熱で充満していきます(肝からの熱と結びつき、上焦の熱が助長される)。
このことにより、体内で上熱下寒の状態が形成され、ミゾオチで陰陽のエネルギー交流がしにくくなり、お腹のつかえ(心下痞)が現れやすくなります。
そのため、余計に消化器に未消化物(水湿の邪)が停滞し、何らかのプレッシャーが起こる度に消化器が揺さぶられると、下痢症状が頻繁になる本症状の潰瘍性大腸炎が発症したもの、と診立てました。
また、本患者さんも自覚されているように、ご自身と外部環境との関わり方によって変動する精神状態によって、症状が大きく変動します。それだけに、消化器疾患は、非常にデリケートな疾患です。
症状の根幹には、性格が大きく関わりますが、体調が悪い時に、心の問題としてだけ対処するのは、なかなかうまくいきません。体を扱う立場として、まずは体を立て直すことが優先になります。
私自身も、ストレスが積み重なると下痢し、飲食の腸内に水毒が溜まってお腹が張りやすい体質です。それだけに、当院では消化器疾患に対する治療に力を入れております。
患者:28歳女性 医療系案内
初診日:2011年6月27日
胃痛
2年前に急性胃腸炎になって以来、頻繁に胃痛を催す。
常に胃を圧迫された感じ。
胃カメラで検査するも、原因を特定できず。
胃下垂で胃がお臍の高さに位置する。
増悪因子:肉、脂濃い、刺激物、コーヒー、アルコールなど
緩解因子:のんびりできるとき
①首・肩のこりとそれに伴う頭痛・目の奥の痛み
首は後屈痛。高校生頃からこりやすかったが、就職後更に増す。
じっとしていても痛みを感じ、腫れて重く痛む。
就職以来、頻繁に整骨院へ通院。
増悪因子:デスクワークや料理など、前かがみが一定時間続く作業後
緩解因子:マッサージ、入浴
②みぞおちからおへそ周囲の圧迫感と痛み
③1年前からの吐き気
特に寝起きに吐き気。腹5分以上の食事。
※解説イラストは表記上、裸モデルを使用していますが、実際は服を着用したまま、診察・治療を行っております。
幼少期 基本的に健康だった。
高校の受験勉強がストレスで、胃腸炎になり1日入院。
高校 勉強時の姿勢により、首こりをしばしば感じていた。
19歳~21歳 アメリカ留学。ホームシックになるも、首こり軽減。
22歳~27歳 ネイルサロン勤務 仕事自体楽しかったが、ネイル時の作業姿勢により首こり増す。食が細くなる。
25歳 急性胃腸炎で4日入院。その後、胃痛を覚えやすくなる。
26歳 胃潰瘍 2ヵ月胃痛を我慢していたところ、病院での検査にて、潰瘍跡が発見された。
27歳 結婚を機にネイルサロンのお店を退職、現職に就く。
【漢方医学的診断】
肝胃不和(背後に脾虚)
【治療と経過】
初診は中脘、以降、天枢(2・3・6・7診)、百会、後谿、太衝から一穴
主訴は胃痛で来院された女性の症例です。
胃痛より首・肩こりの方が時間経過が長いので、首・肩こりに至る原因を弁えることが胃痛の正体を明らかにする際のヒントになります。
すると、首・肩こりの増悪・緩解因子や体表観察から、気の停滞が大きく関与していることが推測されました。本患者さんの場合、同じ姿勢を取ることで、胸郭と腹部を隔てる横隔膜が過緊張になるようでした。それにより、ミゾオチより下の気の流れが悪くなるため、胃痛を中心に腹部の緊張に繋がったのでしょう。
また、一定、消化器機能の弱り(脾虚)による腹部の緊張反応が顕著のため、初診から3診目まで、消化機能を高めるために、腹部のツボ(中脘、天枢)を選択しました。すると、以前より胃痛が緩和し食欲が増すだけでなく、首・肩のこりも軽減していったようです。
その後、腹部の反応を観察しながら、気の流れを良くするツボを選択しながら治療を行い、8診で治療を終了することとなりました。
適切な漢方的な鍼灸治療であれば、このように首・肩こりを緩和させながら、消化機能を高めることができます。
※こちらに、本症例の患者さんの喜びの声を紹介させていただいています。